中学進学を目前に控えたこの時期、「何を勉強するか」だけでなく「どう勉強するか」も整えておきたいところです。

近年、宿題や学習にタブレットを使う学校が増えてきました。選択式で答える、入力する、すぐに正誤が出る。効率も良く、学習の入口としてとても優秀です。
一方で、便利さの裏側で起きやすいのが「書く経験の不足」です。

  • 書かずに分かった“つもり”になりやすい

  • 間違いの原因が残らず、次に活かしにくい

  • 思考の筋道(途中式・理由)が短くなり、応用で止まりやすい

中学の学習は、単純な暗記や作業だけでなく「考えた過程を説明する力」が求められる場面が増えるため、上記の点がそのまま差になります。

なぜ「書く」が学力の土台になるのか

書くことには、大きく3つの役割があります。

  1. 記憶を固定する(定着)
    目で見るだけの学習より、手を動かして書く学習のほうが、脳に残りやすくなります。特に漢字・単語・用語などは「見た」だけでは抜けやすいです。

  2. 考えを整理する(思考の見える化)
    途中式、線引き、要点メモ。書いたものは“思考の記録”になります。合っている・間違っている以上に、「どう考えたか」を残すことが大切です。

  3. 説明できるようになる(応用力)
    中学以降は「理由を述べよ」「どこが根拠か」という問いが増えます。書く習慣があると、考えたことを文章や式に落とし込みやすくなり、説明も組み立てやすくなります。

それでは具体的にどのような学習法を行えばいいのか、下記に科目ごとの例を挙げていますので、ぜひ実践してみてください!

 

国語:漢字と読解は“書いて定着”

漢字は「書いて初めて覚えた」になる

タブレットだと正しい漢字を選ぶだけで終わってしまいがちです。でも実際のテストでは、自分で書かなければ点になりません。

おすすめは以下の学習法です。

  • 1回目:見ながら丁寧に書く(形を覚える)

  • 2回目:何も見ずに書く(思い出す)

  • 3回目:間違えた字だけ書く(弱点を潰す)

大事なのは「見ずに書く」を必ず入れることです。いったん隠して思い出そうとすることで、記憶に残りやすくなると言われています。

読解は「線引き」で整理する

読解では、読んでいく中で文章に線を引いて情報の骨組みを見える化するのがおすすめです。特に注目したいのが、話の向きや結論を示す接続語です。

  • 逆説(話がひっくり返る合図):しかし/だが/けれども/一方で
  • まとめ(筆者の結論に近づく合図):つまり/要するに/したがって/このことから

これらに線を引きながら読むと「どこで話が転換したか」「どこが筆者の結論か」がつかみやすくなります。まずは逆説とまとめの接続語に線を引くことから始め、慣れてきたら大事そうな一文(結論など)にも線を足すと、設問で根拠を探すときも速くなります。

 

 数学:途中式は“思考の地図”になる

中学数学でつまずいてしまう生徒さんの多くが、実は「計算力不足」だけではありません。途中式が短すぎて、自分の考えが追えなくなることが大きいです。

途中式を省くと、何が起きる?

  • 間違えた時は「どこで崩れたか」が特定できない

  • “直し”ができず、同じミスを繰り返す

中学数学は、これまで学んだ内容を使いながら次の単元へ進んでいきます。
途中式を書かないまま学習を続けると、理解が曖昧な部分が残りやすく、あとから内容が難しくなったときに、一気に分からなくなってしまいます。以下を参考に途中式を書いていきましょう。

途中式の最低ライン(これだけは書いて)

  • 途中式は、計算や式の形が変わるたびに1行ずつ残す

  • 符号(+−)が変わる場面は必ず残す

  • 分数・小数の処理は途中を書いて確認する

そして丸付けのときに、どこでミスしたのか(符号・計算・写し間違いなど)を一言だけでいいのでメモします。この“ミスの分類”ができると、勉強効率が上がっていきます。

 

 英語:書くことで「文の型」が身につく

英語は、単語を覚えるだけでなく、語順(単語の並び方)を正しく使えることが大切です。中学では「読む・聞く」だけでなく、「書く」問題も多く出題されるため、早い段階から短い英文を自分で書く練習を入れておくと安心です。

おすすめは、難しい長文ではなく、まずは同じ形の文をくり返し書いて慣れることです。

  • 例)I like ~. / I play ~. / I have ~.

  • 慣れたら:否定文(don’t)・疑問文(Do you~?)に広げる

「短い文を正しく書く」経験を重ねると、文の形が安定し、テストでのミスも減らしやすくなります。書いた英文は、最後に声に出して読んでみると、語順の違和感にも気づきやすくなります。

 

タブレット学習は「併用」が強い

ここまで読むと「タブレットは良くないの?」と思われるかもしれません。結論は逆で、タブレットは使い方次第で効果的です。
ポイントは、タブレットを「練習の入口」にして、ノートを「定着と整理」に使うことです。

  • タブレット:短時間で問題数を回す、苦手を見つける

  • ノート:間違いの原因を残す、型を作る、覚える

おすすめの併用例

  1. タブレットで10分演習

  2. 間違えた問題だけノートに写す

  3. 途中式・理由を書き、同タイプを3問だけ解く

「全部ノート」は負担が大きく続きません。「全部タブレット」は残りまん。
間違いだけをノートに集めるめて、効率よく復習をし、学習の理解度を深めましょう。

 

よくある質問(Q&A)

Q:ノートがぐちゃぐちゃになってしまいます。
A:まずは「読み返せる」を最優先でOKです。きれいさより、途中式と根拠が残っているかが重要です。枠線や色分けは後からで十分。

Q:途中式を書くと時間がかかります。
A:最初はかかります。ただ、途中式が定着するとミスが減り、直しの時間が減ります。結果として速くなります。

Q:親がどこまで見ればいいですか?
A:内容の指導より「途中式があるか」「見ずに書いているか」「直しが答え写しになっていないか」だけのチェックで十分です。

 

塾としてできること

当塾では、中学準備として「勉強内容」だけでなく、ノートの取り方・直しの仕方・学習の型作りを重視して指導しています。

  • 途中式の書き方を整え、ミスの種類を分ける

  • 漢字・英単語は「見ずに書く」を意識したテストの実施

  • 読解は根拠の取り方を練習し、説明できる形へ

「何から始めればいいか分からない」という場合も、現状を見て最短ルートを一緒に組み立てます。

 

まとめ:中学の伸びは「書いて学ぶ土台」で決まる

中学に入ると、学習のスピードが上がり、求められる力も広がります。
そのときに効いてくるのが、書いて整理し、書いて定着させ、書いて説明できる力です。

今のうちから、ノートに残す習慣を少しずつ整えていきましょう。
それが中学以降の学習を支える、いちばん確かな土台になります。